プーチンの化石的大スラブ主義

それでプーチンの発想を解説してみよう。

 

19世紀には、大スラブ主義というのがあった。共産主義が抑圧したのだけれど、本音はこれであった。

そして、プーチンが、ネトウヨ、仮想戦記、低所得者の「保守本」とか、そういうものの「怨念」の噴出に「なにやってんだ、GOOGLEにアマゾンにスマホでなんでもできるし、国境が無くなっているのに頭悪いの?」とドン引きです。

 

大スラブ主義とは、「ロシアの大地から生まれる生命の無限の流出が、有機体としてのロシア民族を作り上げ、それは象徴秩序としてのロシア教会に体現される。その神の恩寵としての、ロシアの大地、生命、有機体の結節点として、象徴秩序たるロシア教会から天の采配で選ばれし者がロシア皇帝である」という古臭いポンコツで、19世紀にはそれでよかったのだが、核兵器を持った国、それも自動報復システムを持った国が、いまどき、2022年にこんな戦争をやる動機にされたのでは、迷惑です。

 

この論理構造で失敗したのは、ナチスが明示的で、大日本帝国が自覚なき宣伝で自己洗脳されて、大失敗をやらかした。

大日本帝国イデオロギーが、その国家的な現実を失って、漂流して、仮想戦記だとか変なHANADAだとかに残留思念としてのことっているけれど、こんなもん、まともな職業を持っている人間が口にできるものじゃない程度には文明化されている。

 

あとは、島国性の問題とか、前例踏襲という名の江戸時代の名残(実は1920年代に始まった工業化のプロセス)、そういう低生産性が日本の課題だけど、逆に言えば、壮大な生命と有機体を象徴秩序でまとめあげ、その「象徴」として神の恩寵たる天皇があるというようなことは、本音では右翼団体でさえ思っていない。脅しに使っているだけだ。

 

プーチンの発想が、アメリカ、イギリスが1920年代に消費社会になって、また異民族を含む帝国として「市民的アイデンティティ」を得たのに対して、プーチンの1890年代くらいの古代遺跡みたいな理屈というのは、誰も(先進国の)に理解不能だし、まして、侵略戦争を正当化するものではない。

 

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