所詮金だろ、という最近の風潮について

まあ、若いのに言うやつはいるわな。

 

意味、わかってんのかね。あんたがそんなにいい立場にいるとも思えないよ。

 

そして、金の方程式は、絶対だから、あんたも変数に含むわけだ。楽しいカジノゲームの始まりだ。

 

賭け金は、自分の人生。この賭博場には、美女も美酒もフリーディナーも揃っている。最高級品ばかりで、スイートルームも用意されている。さあ、所詮、金なら、儲けてみろ。たっぷり、儲けてみろ。

 

そういうことだ。その覚悟があるのがアメリカ人だ。本当にやるからな。人生、賭け金かけて勝負するからな。

 

あれは異質だよ。世界中どこみても。アラブの金持ちだって破産は怖い。怖くないのはアメリカ人だけだ。

 

そして、金の方程式は、適者生存だ。強ければ、勝つわけではない。カジノのルールに通じたやつが少し儲けて、あとは、カジノからみぐるみ剥がされて追い出される。さあ、ジャングルにようこそ。ルールを知り、落とし穴に気をつけて、猛獣が襲ってこないか、ワニに引き摺り込まれないか、静かに身を潜めて、うまく渡りきれ。

 

あんたも金の方程式に支配されている。自分で選んだ道だ、もう戻れない。チャンスを掴み取れ、そうかい、チャンスはあるよ、フルハウスだ、ベットしてみろ、相手はストレートフラッシュかもしれない、ワンペアかもしれない。どうだい、ポーカーフェイスを読めるかい?君もポーカーフェイスでいなきゃ、身ぐるみはがされるぞ。

 

一服が美味しいだろう。いいカードが来たのかい。酒は控えた方がいい。酒で考えると間違う。誰でもそうだ。だから最高の美酒を置いてある。でも、気晴らしに飲みたきゃ飲めばいいさ。

 

でも、ゲームセットは来る。さあ、どうだい、君の持ち金は。案外、普通だな。それで勝ちなのだよ。たいていは、全部すって、明日からユーバー配達員で、借金返さなきゃいけない。儲けているやつが大騒ぎして、美女をはべらせ、マイバッハでお持ち帰りだ。そういう時もあるさ、そういう人もいるさ、もう一度戻ってくる。常に勝ち続けるやつはいない。

 

君はゲームを降りられたんだ。それで持ち金、まあ、普通だな。十分、勝ったんだよ。それだけあれば、十分、勝ったというのだ。普通の一戸建てを買って、普通に暮らして、一生困らない。美味しいものも、ちょっとは食える。ちょっと食べるからうまいんだよ、そういうものは。

 

さあ、所詮は金だ。そして、十分な金だ。それが君の評価だ。君の貢献だ。君の対価だ。君にカジノが支払った全金額だ。

 

カジノなんだよ、むしりとるのがルールだ。生きて帰ってこれて、まあ、幸せな方だな。君は勝ち組なんだ。

 

だって、所詮は金だから。大儲けしているやつらがいる?、いつまで続くかな。ま、君には関係ないことだ。それと、カジノに賭けた金額が大きい方がリターンも大きい。全部賭けたやつは、すごい儲けだ。そういう仕組みだよ。君みたく、ブラックジャックで買って、ポーカーで負けて、スロットマシンでひたすら小銭を稼いで、そういうやつには、これくらいのリターンが精一杯だ。全部、賭けていたら、ま、すってんてん、のすかんぴんで追い出されていただろうけどな。

 

ポーカーフェイスを、ジャングルで匍匐前進を、ルーレットで心臓が縮み上がる思いを、最高に楽しい時間だな。

 

でも、ゲームセットだ。持ち金以上には、もう儲けられない。数えてみろ、持ち金を。それが君への報酬だ。案外、多かったな。それ以上は、儲けられない。もう、カジノは君みたいな堅実に金を引き出す客は儲けにならないからだ。そして、他の客もつまらない。ツーペアで勝負するような勝負勘はあったな。でも、ポーカーフェイスも通じなくなる。さあ、引き時だ。潮時だ。だって、カジノは君のような客はいらないからだ。美女も美酒も堪能しただろう?スイートルームにも泊まっただろう?じゃあ、カジノのサービスはこれで終わりだ。次の客からむしりとる。君はいらないんだよ。

 

持ち金を数えてみろ。案外あるじゃないか。それだけあれば、「勝ち組」だよ。気にするな、金が全て、結果が全て。所詮、金だろ、と言ったのは君だ。それで勝った。勝ちって、そういうことをいうのだよ。

 

自分の家に、車で帰れ。それで、シチューを食って、安ワインで夕飯を食え。朝はマクドナルドで食ったらいい。久しぶりに、朝のマックの朝食はうまい。あれは、うまいものだ。

 

それで、人生、満足しろ。そういうことだ。